10月4日 京都府児童ポルノ規制条例案の審議が行われました。

 

 府議会は本会議が終了し、委員会の審査に入りました。

 私の所属する、府民生活厚生常任委員会には「京都府児童ポルノ規制等に関する条例案」の審議が付託されました。

 国の法律では児童ポルノの製造や販売、提供目的の所持が禁止されていますが、この条例では「単純所持」を禁止しようとするものです。

 児童ポルノによる児童の被害をなくすことには大いに賛成です。児童ポルノは性犯罪の記録であり、その記録を所持することもよくないというのも当然です。

 

 みんなで児童ポルノをなくそうという府民運動が必要ですし、被害児童の支援や教育なども取り組んでいく必要があります。

 

 しかしこの条例案では多くの懸念があります。

 昨日の審議で分かったこと・・・

 たとえば児童ポルノをもっていると疑われた場合、知事の判断で立入調査が行われます。 立入調査では疑われている本人だけではなく、その家族や上司、家主など必要があれば誰にでも質問したり、資料の提出を求めさせることができる・・・・・ことがわかりました。

 

 本来なら捜査令状をもってそのようなことをやるのですが、令状もなしに家宅捜索のようなことが行われる危険があります。 さらに調査の場所についても、本人の部屋やパソコンだけではなく、家族などの関係者のパソコンの中や部屋の中も対象となることがわかりました。

 立入調査は拒否できるというのが府の見解ですが、「拒否できることをどのように伝えるのか?」と質問しましたが、この質問には府は一切答えられませんでした。

 

 「私は児童ポルノなどもっていない」と思えば、潔白を証明するためにも立入調査に応ずる人は多いのではないでしょうか?

 

 しかし「ないことをどのように証明するのか?」 これは本当に難しいことです。

 あることは簡単に証明できますが、もっていることを疑われて、ないことを証明しようと思えばどうしたらいいのでしょうか? 

 またインターネットが氾濫する中で、パソコンのハードディスクなどに保管していることも禁じられ、もっている児童ポルノの種類によって、廃棄命令という行政処分を受けたり、刑事罰を受けたりします。

 

 しかしこうしたことを把握するのは、非常に難しいことです。 恣意的な調査が行われたりする可能性もあります。

 

 昨日の議案の審議を受けて、今日は条例案に反対するための討論を行いました。

 以下、討論原稿をアップします。

 

 

第2号議案に反対し、他の議案に賛成の立場で討論します。

わが党議員団は児童ポルノが、児童の性的虐待の記録であり、その製造や販売はもとより、取得、所持等についても被写体である子どもに対する人権侵害であり、社会的合意で児童ポルノをなくしていくことが必要と考えます。そのためにも必要な対策をとる必要がありますが、昨日の議案の質疑の中でも本府の条例案は様々な点で問題を抱えていることが明らかになりました。

  

以下、第2号議案に反対の理由について述べます

 

第1に、児童ポルノの定義が曖昧であることです。

   本府の条例案では廃棄命令や刑事罰を伴う児童ポルノの定義について、国の法律以上に限定的にし、法2条3項の第3については、「全裸、または性器・肛門の描写」としていますが、幼児期の成長の記録などについては、条例案のなかに対象としないことを担保する文言はありません。さらに規制を伴わない所持禁止の児童ポルノの定義には「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ、または刺激するもの」というあいまいな定義が含まれていることです。児童ポルノを規制することによって守られるべきものは被写体となる児童の人権です。

   京都弁護士会の本条例案に対する意見書にも「罰則を伴う規制法制については、罪刑法定主義の観点から規制対象が明確に定められる必要がある」と指摘されています。

以上の観点から児童ポルノの定義に主観的要件を入れることは適当ではないと考えます。

 

 第2に、単純所持を規制する本条例案では、人権侵害の危険やえん罪の可能性があることです。

 立入調査について、プライバシーの侵害など人権侵害の恐れがあること。 実質的な令状なしの捜索が行われる危険性があります。

 条例案第9条には「その他関係者にも質問させ、必要な資料の提出を求めさせることができる」とありますが、昨日の審議の中でも、その他関係者とは、立入調査に必要な場合、職場の上司や雇用主、家主や家族、またそれ以外の関係者も含み、だれにでも質問したり、資料の提出を求めることができること、さらに立ち入る場所については本人の部屋だけではなく、家族の部屋やパソコンなども調査の対象になり、どこまで調査をするのか、その歯止めもありません。もっていないことを証明することほど難しいことはありません。

   また廃棄命令についても、送りつけられたメールに添付されていた児童ポルノ画像や、荷物の中に忍び込まされていた写真などを知らない間に所持していた場合など、誤って廃棄命令が出される可能性もあります。

そうした場合、それだけで充分に社会的制裁を受けてしまいます。

 

 第3に、恣意的な運用がなされる危険があることです。

   条例案では「児童ポルノを所持・保管していると見られるもの」に対しては立入調査を行うとしています。

京都弁護士会の意見書では「立入調査に名を借りて恣意的に事実上の捜索が行われる危険性すらあり、いたずらに市民生活の平穏を乱す恐れがある」と警鐘をならしています。

   とりわけ、インターネットなどによる児童ポルノの流出は、画像を所持した人物を特定することは大変困難であり、恣意的な調査などが行われる危険があります。

 

 

   また手続き的に見ても、条例案の骨子がホームページに掲載されたのが7月で、条例案が示されたのが9月の本会議開会の直前です。 まだまだ府民的な議論も不十分です。

   本府がやるべき事は児童ポルノによる被害児童を1人も作らないために、情報リテラシー教育や性教育、府民への広報啓発などに努力すること、さらに被害児童の支援体制を強化し、人的体制も強化することです。

   また、児童ポルノをなくすためには、児童の性犯罪被害をなくすこと、児童ポルノの製造や販売、提供を行う行為をなくすことこそ必要です。元を断たなければ、児童ポルノはなくせません。

以上の理由で第2号議案について反対です。