京都府公立大学法人の中期目標(案)に対する質疑(大要)

2008年7月9日 文教常任委員会 付託議案質疑
第14号議案 京都府公立大学法人の中期目標を定める件について
山内よし子委員(日本共産党・京都市南区)

【山内】まず、「教育環境等の充実」というところでは、老朽化の施設設備の充実を図るとありますが、現在、府立大学では学部再編の影響で研究室が不足する、教室も不足するような状況で、府の職員研修センターを間借りして研修室や教室があるとお伺いした。これは、教員にとっても、学生にとっても、本当に教育研究に支障があると思うが、どのように改善をはかっていくのですか。

【文化環境部長】新しい時代の要請をうけて学科改編をいたしましたが、そういった意味では一部重なっているところが出ますので、それを解消するために府の職員研修所をオープンにして、そこで必要な研究室等でそこで授業もやっていただいているのですが、当面すぐに建物は出来ませんので、そういった対応をやっていただいているところですが、それこそ府立医科大学、府立大学、工芸繊維大学も含めて教養課程の共同化事業も進めていかなければならないので、そういった事業の展開もみながら施設整備のあり方については早急に進めていく必要があると思っています。

【山内】学部再編を行えばこういったことが起こるということは当初から分かっていた事だと思います。この問題は、3大学連携以前の問題であり、3大学連携の根幹をなしていく府立大学の教育環境がどうなるかという問題です。3大学連携の中で考えるというのでいいのか。砂上の楼閣のような話をしていても問題だと思う。そういう点では、やはり府立大学に学ぶ学生の教育条件、環境整備の問題だということで、3大学連携待ちにならずに改善すべきと考えます。研修センターは今も研修センターとしてはいきているわけでして、どうされるのか、一刻も早く改善すべきと考えますがいかがですか。

【文化環境副部長】新しい学部については、既存の施設を使ってなるべくいけるようにと考えたが、当然のことながら年次経過的に重なる部分がでてきますので、そういったものを含め、仮設の何かをつくるとか、恒久的なものをつくってしまうとかいうことではなくて、既存の施設、隣接にある府有施設を有効に活用することは府民の財産の有効な活用だと思います。将来的に、今申しましたような連携の話、施設の老朽化についての対応については、これはこれで至急に検討していきたいと思っています。

【山内】研究室だとか授業をやっている、その同じ建物の中で、府の職員の研修が同時に行われるということでして、一刻も早く改善すべきだと考えます。
 次に、「地域貢献」に関する項目の中で、地域と大学を含む共同窓口の設置というふうにありますが、具体的にどういうものか、また、人的配置はどのようにされるのか。

【文化環境副部長】地域との窓口ということで、従前はそれぞれの学部や研究科が企業や地域の相談に、それぞれ答えていたものを、窓口を一本化するということを進めています。府立医科大学の場合はリエゾンオフィスというのをつくってやってていますし、府立大学も今年度に入って学長のもとに組織立てをしてやっております。人的には、既存の教員なり、職員をうまく配置しながらやっていくという形をとっています。

【山内】現場の実態や要求をしっかりとつかんで行って頂きたいと思います。
 「業務運営の改善」に関する項目の中で、2月議会でも質問させていただいたが、「運営体制の改善に関する目標」の中で、「理事長と学長のリーダーシップによる迅速な意思決定のもと」ということが書いてあります。これまで、法人化を前提にして議論が進められてきて、法人化をするものだという前提のもとで大学関係者の声を聞いてこられたと思うのです。その結果、法人化を目前にした昨年の夏に、府職労の当時の医大支部がアンケートをとりましたが、410名の回答者のうち、法人化に「賛成」という方がわずか19人で、「反対」が143人、「どちらでもよい」という人と「わからない」という人を合わせると243人になるというアンケート結果が出てきましたし、それから、府立大学でも先生方の意見をお聞きしますと、法人化そのものについてどうするのかということで賛否を問われることはなかったということでした。現場での受け止めとずいぶんと、「大学関係者の声を聞いた」というふうな理事者とのギャップがあるわけです。やはりこれはトップダウンで進めてきた弊害だと思うが、今回、目標の中に「理事長と学長のリーダーシップによる迅速な意思決定」という目標に掲げて、そこを重視するあまり、これまで以上にトップダウンの意思決定がされるのではないか。大学関係者の総意をどのように大学運営に反映させていくのか伺いたい。
【文化環境部長】今ご指摘を頂いたところの表現についても、地方独立行政法人法の第13条に規定があるように、「理事長は地方独立行政法人を代表しその業務を総理する」、あるいは「副理事長は地方独立行政法人を代表し定款で定めるところにより理事長を補佐して独立行政法人の業務を管理し」云々という形であり、基本的に独立行政法人として発足した法人の運営については、法に従ってもこういった表現で理事長ないしは副理事長がそういった役割を果たすということは、ある意味で法律の規定に沿った規定として当然であると思っています。

【山内】先ほどは法律に書いてあるからわざわざここに入れ込まなかったと、今回は法律に定めてあるからその通りに書いてあるんだということでしたが、やはり、これは大学関係者の総意をどの様に大学運営に反映させていくのかということを私はお伺いしているのですが。

【文化環境部長】書いてあるからではなくて、独立行政法人通則法によって、そういうふうに規定しなさいというふうになっているから規定していると申し上げているわけです。法人として設立されたわけですので、その法人の管理運営は法に則ってやらざるを得ないというのは当然のことです。そのあと、一法人二大学という大学形体をとっておられますが、私どもとしては、渡し切り交付金という形で一定の支援をしながら、それは大学の中で運営をされていくという体制づくりを、向こうは向こうでやっていただくという形になると思っています。法律に従った規定の条文としてはこれで問題ないと思っています。

【山内】大変矛盾がある。憲法に基づいて大学の自治を尊重するということをおっしゃりながら、大学関係者の総意をどのように大学運営に反映させていくのかという質問にお答えになっていないのですが。どういうふうにして大学関係者の総意を運営に反映されていくのか。

【文化環境部長】ですから、それは正に法人の管理運営に関する条文の規定を受けられて、そういった形で法人管理をされていかれますが、具体的な内容についてはそちらの方にお任せをされているというのが法人化をした本来の主旨であり、その中で、大学の意思をいかに形成されるかというのは、ある意味で自主的におやりになっていけばいいのではないかと思います。

【山内】わざわざ京都府が、目標でここまで「理事長と学長のリーダーシップによる迅速な意思決定のもとに」というようなことをわざわざ目標に掲げる必要はないと思います。それから、「透明性の確保」が「業務運営の改善」の中でうたわれていますが、それはどこに担保されているのか伺います。

【文化環境部副長】目標の中の、情報公開や外部の評価を受けるとか、そういうところに透明性の確保を入れています。

【山内】例えば、寄付講座なんかですと、これまでは全部議会に報告があり、例えば医大がツムラからの寄付講座で漢方の研究をしているとか、どこから研究の資金がきて、どういう研究を行っているかが分かりやすかったが、今後、法人化によって透明性の確保となっていますが、そういったことは、私たち府民は知ることができるのでしょうか。

【文化環境部副長】これは中期目標にしたがって法人がつくる中期計画年次計画にそって事業報告がなされてまいります。その事業報告の中にそういった教育研究に関しての事項があり、その中で報告がある。それを私どもが議会に報告させて頂くということになりますので、十分に担保されます。

【山内】同じく「業務運営の改善」に関する事項の中で、効率化に関する目標ということで、外部委託を図るということでなっていますが、現状はどの部署でどのような外部委託が行われていて、指揮命令系統はどのようになっていますか。

【文化環境部副長】外部委託で主なものは施設のメンテであるとか、レセプト審査の関係ですが、それぞれ適正な業者選定を行い、常勤の職員が指揮命令下において、指揮命令というか、委託をしたものをきちんとした成果をチェックしながらやっておるということです。

【山内】今よく分からなかったが、常勤の職員が指揮をしているということでしたが、それは委託業者のですか、それとも府の職員ですか。

【文化環境部副長】府はレセプト審査でいうと、収納課のところで課長がおり、そこの部屋の中に委託業者が入ってまいりまして、それぞれ業務を行っているという状況を、課長がきちんとみておるということになります。

【山内】収納課長が本府の収納課の課長が指揮をしているということなのですか。

【文化環境部副長】現在のところ法人の職員になっておりますので、そちらの職員になっておりますが。

【山内】今、議会でこんな答弁をされたので驚いています。業務委託の場合、指揮命令系統は委託先の上司が行うということが原則ではないのですか。

【文化環境部副長】先ほど、指揮命令というのを言い換えて、部屋の中で見ていますという形で言い換えたと思いますので。厳密な法解釈でいうと指揮命令系統は委託先の上司になりますので、それの成果をチェックしておりますという言い方をさせて頂いた。

【山内】私も先日、府立医大を利用させて頂いて、その時にいろいろ見ていましたが、府立医大の医事収納のところと、外来の受付も確か全部外部委託になっていると思いますが、本来病院業務というのは命と健康を預かるということでは一体的にやっていかねばならない。そこで働いている人たちの指揮命令系統がバラバラであってはいけないと思うのです。そういう点では、こういう状態を放置していていいのかと思うのですが、どうでしょう。

【文化環境部副長】業務委託をすると適正な業務がかなわないというようなものについては委託しないわけですので、これは大学法人もしくは医科大学の方で委託をして適切な業務執行がかなうということで委託しているものでありますので、これについては大学の自治というか、そちらの方の判断に従うのかと思っております。

【山内】府民サービスを確保するという観点からみても、安易に外部委託導入をすべきでないと思います。もう一点、教職員の評価制度を導入する問題や、柔軟性に富んだ雇用形態など、そもそも労使間で協議すべきことが目標に掲げられていますが、そこまで踏み込む必要は全くないと思うのですが、いかがですか。

【文化環境部長】基本的に独立行政法人として法人格を認めるということは、いわゆる大学なりというものが時代の要請に応じて府民の本来期待に応えていくべきだということが、基本的な出発点だということだと思います。そして、それが何故出てきたかというと、社会のいろいろな情勢の変化に迅速に対応して研究する科目の変更もやっていかねばならないし、それに従った研究成果の還元もやっていかないといかんということですので、次々と出現してくる地域社会における課題ですとか、あるいは学術研究上の課題とかいうことについて適切にその時期を経て、大学がその研究機能を果たして成果を出していくというために、それなりの柔軟な組織と人事配置が必要だということが、本来の法人の目的でもあると思いますので、そういったことを適正におやりになって府民に還元できる研究成果と地域貢献をきちっとやっていただくというのがこの法人化の目的であると思っておりますので、ご理解を賜りたいと思います。

【山内】これまで府立大、府立医科大ともに労働組合等は、公務労働の現場にいるということで、本当に府民サービスの確保のために、ある場面では理事者と一緒にいろいろと自分たちの労働条件を削るようなこともこれまでされてきたと思います。そういう点では、そういう労働者との連携協力が必要になってきておりますし、労使間の協議を尊重すべきだと思いますがいかがでしょうか。

【文化環境部長】法人の中で正に独立を認められて運営をされていくわけですから、一定自主性の中でそういったものが常時に昨日していくことが大事だろうと思います。向こうの方できちっとそういった対応をされていくと理解しています。

【山内】次に、「財務内容の改善」に関する事項ですが、「適正な受益者負担の観点から」これは病院の使用料とか、学生の授業料に関する部分ですが、「適正な受益者負担の観点からその妥当性を検討し適宜見直しを行う」というふうにされています。本来、府立の大学や病院は受益者負担という観点ではなく、学生の教育を受ける権利や、患者の権利をしっかりと保障していくという観点も必要だと思いますがいかがでしょうか。

【文化環境部副長】大学法人として一つの独立した法人ということで、立ちいくわけですが、そのためには、私ども、府民の皆さんからお預かりした税金を交付金という形でお渡ししています。その交付金の中で、大学の研究であるとか、診療であるとか、教育であるとか、こういったものを回していっていただく。その回すことについては、それぞれの大学、法人の中で自主性をもってやっていただくということですので、その中で、例えば受益と負担の関係ですが、そういった大学の役割、おかれている立場、そういったものを含めて、そういった交付金の中で回ろうと思えば、当然のことながらいろんなことを考えながらやっていかなければならないであろうということです。当然、税金を原資にしている以上、きちっとした評価の検証もやっていく必要があるでしょうし、ある意味、受益と負担というところについても、当然のところ考えていく必要があるのではないかということです。

【山内】前段の教育の実施体制等に関する目標の中では、学生生活に対する支援として、学生の経済負担の軽減等を行うという項目が入っているわけです。これは、大学での勉学が受益のために行われるのではなくて、社会にとって有益であるからこそこういう項目が入っているのではないのですか。お答えください。

【文化環境部長】私どもは、今度の独立行政法人化にあたって、学生さんたちに対する生活支援だとか、いろんな支援策については一切後退をしたことはありません。結局、そういった中で独立行政法人化がされていったわけですから、その中で、受けられる個々のサービスについては現在も授業料という形でお払い頂いておりますし、あるいは、病院を受診された場合は医療費としてお支払い頂いているので、そういったものは適正にやられていくべきだというのは当然のことだと思いますし、矛盾しているということは全くないと思う。

【山内】私が質問したのは、大学での勉学が受益のために行われているのかということです。そうではないと思うのです。社会にとって有益であるということで行われているからこそ、こうした学生支援の項目が入ってくるだろうし、授業料の設定もそういう設定になっているのだと思うのですが、そこはどう考えておられるのですか。

【文化環境部長】先ほど申し上げた通りですが、公立として元々設置者として維持している事自体がそういったことがあるが、必ずしも法人化というのは、地方自治体が直接運営しなくてもやっていけるところの分野について法律上認められた分野で独立化を図っていくということですので、そういった中で、公益性があるのは当然の話でして、その中で、ただし独立行政法人として府民の税金を得ながらう運営をしていくというところで、受けられるサービス的なものについての一定の負担は、授業料という形や、医療費の一部負担という形でおやり頂いていると理解している。

【山内】学ぶことがサービスを受けることなんだというのは、私は初めて伺いましたが、やはり、学ぶというのは公益性があるということですし、次代の日本を担う人材を育てるという点では受益者負担という言葉の使い方そのものがふさわしくないんです。だから言っているのです。
 私たちは、この中期目標については、前段で教育環境等の整備だとか、学生支援ということでは大学関係者のご努力等もあって、こういった項目が入って後退をしていないと思いますが、やはり、受益者負担の考え方だとか、外部委託の導入という点では賛同できかねるということで修正案を出したいと思っております。

【文化環境部長】学生が受けることをサービスだと言われたが、言っているのは医療サービスの分野のことを申し上げておりますので、誤解を生まないようにして置いて頂ければと思います。